最終更新 2026-08-15
価格の次に多いご質問が、これです。「自分はいいとして、従業員はどうなるのか」。長く働いてくれた人たちの生活がかかっているのだから、当然の心配だと思います。
理由は、買い手にとって従業員こそが買う理由のひとつだからです。
特に人手不足が深刻な業種では、「人が揃っていること」自体が価値です。ゼロから採用・教育する手間と費用を考えれば、既存のスタッフに残ってもらうほうが買い手にとっても得になります。
実務でも、雇用の維持は売主側の希望条件として最初に提示されることが多く、それを飲めない買い手はそもそも候補から外れます。
株式譲渡の場合、会社そのものは変わらず、株主(オーナー)が交代するだけです。従業員と会社の雇用契約はそのまま継続し、手続きも原則不要です。勤続年数も引き継がれます。
事業譲渡の場合は、事業が別の会社に移るため、従業員は転籍という形になります。この場合は本人の同意が必要で、雇用条件を新たに設定し直します。
どちらのスキームを取るかで従業員への影響が変わるため、売却の設計段階で決めておく必要があります。
口約束ではなく、最終契約書に雇用に関する条項を入れるのが実務です。たとえば「一定期間は雇用条件を変更しない」「役職・給与を維持する」といった内容です。
すべてを縛ることはできませんが、重要な条件は明文化できます。何を守ってほしいかを、売主が最初に整理しておくことが大切です。
タイミングは最終契約の直前か成約後が一般的です。早すぎると、成約前に不安から離職が起き、かえって全員にとって悪い結果になりかねません。
伝える際は、買い手が誰で、雇用条件がどうなるかを同時に示すのが原則です。「売却します」だけを先に伝えると、想像で不安が広がります。買い手と一緒に説明の場を設けることも多くあります。
従業員の退職金はどうなりますか?
株式譲渡では会社が継続するため、退職金の積立や規程もそのまま引き継がれます。事業譲渡では転籍時にいったん精算するか、勤続年数を通算するかを個別に決めます。どちらにするかは交渉事項なので、売主の希望として先に伝えてください。
自分(オーナー)は売却後すぐ辞められますか?
多くの場合、一定期間(3ヶ月〜1年程度)の引き継ぎを求められます。取引先の紹介や業務の伝達が必要なためです。この期間と報酬も交渉で決める条件のひとつです。
従業員が反対したら売却できませんか?
株式譲渡であれば法的には従業員の同意は不要です。ただし現実には、キーパーソンが辞めると事業価値が下がるため、買い手が不安視します。反対されないように、伝え方と条件を設計することが実務上は重要になります。
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